- 【講演者】
奈良 由美子 氏(放送大学教養学部 教授)
- 【タイトル】
『 遠隔教育システムの課題 』
- 【概要】
- 放送大学は文部科学省・総務省所管の通信制大学である。
学士・修士の学位取得やキャリアアップ等をめざして日本全国で
82千人余り(2011年度第1学期現在)が学んでいる。学生の属性は多様であり、
年齢は10代〜90代と幅広い。また、会社員、教員など有職学生の割合が高い。
他大学との単位互換を通じた教養教育のモデル提供も推進しており、現在350校以上の大学、
大学院、短大、専門学校と単位互換を行っている。
「"いつでも、どこでも、だれでも"学べる大学」の理念を具現化すべく、
放送大学の教育システムは他の通学制大学と比べるとかなり特殊と言える。
「自宅がキャンパス」とのキャッチコピーにも示されるとおり、
学習者にとって学びやすい環境・資源を提供する学習システムが構築されている。
メディアとしては紙媒体の印刷教材やDVD教材等に加えて、放送(テレビ・ラジオ)に
よる放送教材が制作される。放送大学は、自前の放送局と制作スタジオを持っており、
年間300以上の科目を毎日早朝から深夜まで放送している。加えて、インターネットを
活用した学習支援にも力を入れており、放送教材のインターネット配信、Web学習システム、
学習コンテンツの共有化などが行われている。いっぽうで、対面による学習へのニーズは
依然高い。全国57カ所の学習センターおよびサテライトスペースで、年間2,700クラス以上の
面接授業が開講され、学生と教員がリアルに学び合う場が提供されている。
放送大学の学習システムの課題はいろいろあるが、ここでは以下の3点をあげたい。
第1に、今後ますますインターネットによる学習支援のウェートが高まるいっぽうで、
情報リテラシーの低さ等によりネットを利用できない学習者が存在すること。
第2に、学習者が学友や教員の存在を感じることができず、孤独になりがちなこと。
第3にテレビ等を通した学習であるため、教員側に学習者のリアルタイムの反応が
分からないことである。
- 【資料】
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