人間情報学会 概要
- 設立
- 平成21年11月1日
設立趣意
本学会は、人間が有する情報に関する研究を分野を超えて広範囲に実施統合することにより、更なる学際的研究領域を生み出し、もって人間社会の向上と人類の幸福に貢献する。
本学会では、様々な情報であふれている現代の社会において、人間の有する情報を多面的に解明することは社会に対して新しい視点を提案することにつながると考える。したがって本学会においては、人間が有する情報に関することは全て研究対象とする。
例えば工学分野や医学分野においては、人間が発信する生体情報を多面的に解明する学際的研究がおこなわれてきた。そのひとつの方法として小型軽量ウェアラブル機器でセンシングし、蓄積されたデータを解析し、個人の健康状態や快適度を可視化して人間にフィードバックする研究を行い、人間の有する情報を多面的に解明することは有用であり、本学会ではその研究結果を共有して人間情報の研究とする。また、社会科学系研究分野においては、人間が保有する様々な情報を融合し、新たな情報に創り上げてゆく観点からの研究がおこなわれている。本学会はそれらの研究成果の共有や融合を図り、さらに新たに高度な情報に創り上げていくことに資する。
本学会の活動の中には、生体情報システム等の情報システムの標準化も含む。これにより世界中で得られた生体情報のデータベースを構築し、類型化することが可能となる。人材育成の支援は本学会の大きな目的のひとつであり、生体情報を元に人間の健康状態をアドバイスできる専門家を育てる。
人間が保有する情報は広範囲である。寺田寅彦が「物質群として見た動物群」(1933年)の中で述べているように、人間の社会は分子の集まりと同じように扱うことが可能であり、ミクロの動きを正確に把握するより、マクロを統計的に把握して人間社会を把握することができる。同時に社会学者のPeter L. Berge等が示唆するように、社会事象を説明するためにはそれぞれの社会に所属する人間の認識を考慮すべきであり、統計的手法に基づく定量分析だけではなく、社会を構成する各個人の発信するきめ細かい情報に基づいた定性分析が必要である。
人間の行動を規定するものは、単純な合理性だけではなく、ある種の感性に基づく判断がひとりひとりに働いている(コリン・カメレール)のように人間の発信する情報は複雑、非線形であり、個人個人の本質を理解するとともに社会全体の本質の理解まで発展させることが必要である。
以上から、本学会においては医学、理学、保健、工学、情報、経済、心理等、広い分野の研究者の参加を呼びかける。また医療関係者、電気メーカ、情報関連企業、健康産業従事者にも参加を呼びかける。これにより、従来の学問体系を超えて、「人間情報」を総合的に討議する場としたい。
なお運営に関しては当面はNPO法人WINの中で学会を育成し、将来的には一般社団法人としての独立を目指す予定である。