第4回人間情報学会定期講演会(奈良)報告

 第49回WIN定期講演会/第4回人間情報学会定期講演会は、初めての東京以外での講演会として、「1300年の古都より、人間情報の未来を展望」と題して、平城遷都1300周年を記念してさまざまな取り組みで賑わう奈良市の中心地にある奈良女子大学で、9月10日に開催、100余名の参加をいただき、盛況のうちに終了した。 会場は、重要文化財に指定されている大学記念館。格式のある木造の講堂であった。

 講演は、ポスターセッション、第4回人間情報学会定期講演会、人間情報学会市民公開講座の3部で構成した(ポスターセッションの詳細は別項)。内容は、現在話題になっている最新のトピックスが多く、会場からも講演時間を上回るほどの活発な質問が出され、議論が深まった。

 第1部の定期講演会は、奈良女子大学の佐久間春夫副学長の基調講演「スポーツ科学における計測」で幕を開け、人間情報の計測に関して分かりやすく話していただいた(機関誌 ネイチャーインタフェイス誌48号 pp.7-9参照)。
 特別講演は、吉田修京都大学名誉教授の「いのちを考える――iPS細胞と人間」と題して、注目されているiPS細胞の研究の現状に関しての講演である(機関誌 ネイチャーインタフェイス誌48号 pp.10-11参照)。
 また、西尾章治郎大阪大学副学長の特別講演「人間に寄り添うアンビエント情報環境」では、海外でも活発な議論が実施されているアンビエント情報社会の実現に向けた取り組みの重要性を提唱していただいた(詳細は 機関誌 ネイチャーインタフェイス誌49号 掲載の予定)。

 第2部では、会員以外の方にもお気軽に参加いただけるように、「市民講座」を設けた。めがねフレームなどの世界的なデザインディレクタとしても知られている川崎和男大阪大学大学院教授の「人間、デザイン、情報――問題解決手法としてのデザイン」と、「ダニ」の研究で著名な青木淳一横浜国立大学名誉教授の「特殊生物ヒトの出現と地球環境」の2件の講演があった。ここでは、市民の方々にも身近に感じていただけるような楽しい話題を提供していただき、好評だった。

 講演会の最後には、日本だけでなくヨーロッパでもご活躍のチェリスト、水谷川優子氏による演奏と語り。初秋を感じながらリラックスした雰囲気のなかで、「アメージンググレイス」を始めとして、バッハ、シューマンといった美しいクラッシック音楽の演奏であった。

 なお、初めてのポスターセッションでは、10件の参加があり、好評だった。この取り組みは、今後の定期講演会でも計画している。

 第50回WIN定期講演会/第5回人間情報学会定期講演会は、12月20日に東京大学・山上会館で開催する。流体力学、政治行動から、ビジネス分野まで幅広い内容となっている(プログラムは、人間情報学会第5回講演会ページに記載)。




写真1.会場(奈良女子大学)の正門。突き当りが大学記念館(重要文化財)



写真2.講演会。約100名の参加があった